多彩な技と体格差をものともしない勇気でもって土俵を湧かせた平成の牛若丸は、 数々 の忘れがたい名勝負を大相撲ファンの心にきざんで、平成11年に現役を退かれましたが、 その後も、NHKの大相撲解説者としてのみならず、好奇心旺盛なスポーツキャスターと して、旅番組の名案内役として、さらには好 感度抜群のCMキャラクターとして、活躍の場は広がるばかりです。テレビ画面を通して、その親しみやすい人柄に惹かれない人 はいないでしょう。そんな舞の海秀平さんに、もう一つ、異才が秘められていました。書です。
京都祇園の2006年秋にオープンしたお店「吉祥彌 十九蔵」のロゴを、舞の海さんが手がけました。柱となっている「十九蔵」が、舞の海さんの書。力強く、威風がありながら、表情豊かな親しみやすさが溢れています。型にとらわれず、機に応じて技をくり出した舞の海さんの相撲そのものです。運筆は躍動感があって、しかも隅々まで気が行き渡り、筆の端々には飛天の遊戯を思わせるゆとりが感じられます。柔軟な体と強靱な粘り腰で土俵狭しと走り回り、俵の上ですらくるりと舞ってみせたあの姿が、そのまま墨となったかのようです。
青森県から日本大学へ進み、学生相撲で活躍しながら、卒業後は社会科の教師にと思っていた舞の海さんは、夢をあきらめきれずに大相撲の門を叩きました。新弟子検査で身長が足りず頭にシリコンを入れた苦労話はすでに伝説となっていますが、このエピソードにも表れている高い志と妥協を許さない探求心が、角界最小の体格ながら、見る者の心を熱くさせる数々の技と、技能賞を5度受賞するまでの華ある土俵人生を築いたといえるでしょう。舞の海さんのとる筆には、相撲でつちかった土性骨が通っているのです。
そんな舞の海さんの書を、ロゴとしてパーフェクトに仕上げたのは、デザイナーの美登英利さんです。美登さんは、80年代から、書をモチーフにしたグラフィックデザインを通して、未踏の領域を拓いてきました。書の伝統美に斬新な驚きを与え、和洋を問わぬさまざまな書体を自在に組み合わせることによって、限られた視野の中にイメージの広がりと情感の奥行きを演出する技が、美登作品の真髄です。1991年には、書を活かしたポスター「花」「水」「鴬」で、国際タイポグラフィ年鑑グランプリを受賞されました。
美登さんは、象形文字からメタモルフォーゼしてきた漢字を、原初の生き生きとした絵として現代に甦らそうと努めてきました。古来のカリグラフィを前にして童心に返り、その源泉から、現代人の胸を打つ形象の妙へと描き上げるその作風は、神話に起源を持つ相撲を人生の土俵にすえて、そこから縦横無尽の活躍をくり広げる舞の海さんの立ち姿と響き合うものがあるのでしょう。伝統にしっかりと根ざしながら、今に生きる本物であること。先の見えない時代であるからこそ、そんなお二人の新たな合作に期待が高まります。
ユーチューブで舞の海さんの大活躍がご覧頂けます。
舞の海秀平さん画像
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舞の海秀平 profile
1968年青森県生まれ。日本大学卒業後、90年出羽海部屋に入門、幕下付け出しで初土俵を踏む。翌91年幕内入りを果たし、94年小結昇進、最高位となる。角界最小の体格ながら、「猫だまし」「八艘飛び」などの技で土俵を湧かす。99年引退までに5度技能賞を受賞。幕内通算成績241勝287敗12休。04年私生活での父親ぶりが評価されて、第23回イエローリボン賞ベストファザー賞をスポーツ部門で受賞。現在、NHK大相撲解説者、スポーツキャスター、CMキャラクターとして活躍中。

美登英利 profile

1955年愛媛県生まれ。84年書と日本の色をテーマにしたシリーズ新聞広告で日経新聞、日経流通新聞で優秀賞、部門賞を受賞。86年ミトグラフィコ設立。87年ファッションブランド「藍」のロゴタイプで日本タイポグラフィ年鑑ベストワークス賞受賞。90年作品集『sho by mito』出版。91年書をモチーフとしたポスター「花」「水」「鴬」で国際タイポグラフィ年鑑グランプリ受賞。現在、CDジャケットデザインや化粧品会社HABAの広告、数多くのロゴタイプ制作を手がけている。タイポグラフィ学会会員。
舞の海秀平さんへの制作見積りなどお気軽にお問い合わせください。
筆文字なび」では、書家と第一線で活躍するグラフィックデザイナーとのパートナーシップにより、個性溢れる書に機能美を加え、ロゴとして完成させる万全のシステムを備えております。
075-255-5555(営業時間9:00〜18:00 土日祝休) info@sho.ne.jp  担当/米尾
 
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